――中央広場の真ん中で顔を上げると、腕のないゴルドの脚が回転しているのが、遥か頭上に見えた。大小様々な形の板を組み合わせて形成された巨大な箱が、徐々に降りてくる。樹下からヴィオとリュークを迎える為に、何名もの人がその昇降機には乗り込んでいた。皆、十五本の枝が組み合わさった流麗な紋様が刺繍として施されている白い服を着ている。同じ白で、同じ刺繍の入った小さな羽織と大きな羽織が、息子と夫の肩に掛けられた。ヴィオが振り返って、泣き笑いのような表情を見せた。そうして二人が昇降機で枝の上へ昇っていくのを、リェイはいつまでも、翠に紛れてわからなくなっても、見送っていた。胸元に揺れる首飾りを二つ、握り締めて。
【宵の種火は新芽を抱きて 第一章】